#19 法廷で、病院が「患者治療再開を妨害してやる」と宣言

 事故患者については、函館医師会の指針で、病院の紹介状が無ければ転医出来ないという取り決めがあった。
 医師法上、医師には応召義務があり、飛び込みの患者も診察する義務がある。
しかし、治療上のトラブルを避けるために、診療情報提供書の無い事故患者を受け入れないという指針は、合理的ではある。
 この指針がある事を知らなかったF夫婦は、病院が他病院での診察治療再開を妨害するので、他病院に直接診察予約しようとしたが、拒否された。この事故患者の転医には紹介状が必要という指針については、保険会社も函館西警察も確認済みであったので、医師会会員である病院が知らない筈が無く、事実同病院の療法士も受け入れしていないと認めていたのに、相手方病院だけが、「医師には応召義務があるので、事故患者には紹介状が必要という話は聞いたことが無い。F夫婦は何処の病院にも行けるのに、紹介状が必要といっているだけ」と主張し、裁判官はこれを認めた。
 紹介状というのは、手紙と診療情報提供書のことで、手紙は患者が直接転医先病院の受付に提出して、入院続きが開始される。
 その後、診療情報提供書が転医先病院に送付され、これを参照して治療が再開されることになる。
 以上について、法廷で詳細に説明し、F夫婦らが提携先病院を紹介された際に、手紙が無いため受付拒否された実情を説明済みだったのだが、裁判官は病院側の「紹介状は転医には不要だが、必要な場合には、病院同士直接送り、本人には交付しない」と説明し、裁判官はこれを信用した。
 第三者に相談していた際、そこに偶々医療関係者がいて、事故患者には紹介状が必要と証言してくれたが、患者が根拠や第三者の確認事情主張しているのに、病院側の本人証言だけが信用されるのは、本人訴訟の情けなさなのだろう。

 法廷で病院側は自己の責任を認め、「病院が信頼出来ず、ご希望の病院を自分で選択したいのなら、病院はこれに協力して、決まり次第すぐに紹介状を送付する」旨
主張した。
 裁判官は、親切で良心的な病院と評価したが、F夫婦は「紹介状・手紙が無ければ、まず受付さえして貰えない」と主張したのに、病院は「自分で探した病院の受付が終わったら転医先病院に紹介状・診療情報提供書を送付する」と言っているのだから、これは紹介状・手紙は出さないと患者に宣言し、治療再開を妨害すると宣言したに等しいのである。
 この明らかな治療再開妨害を裁判所が許し、高裁もこの判断を正当と認定したのである。
 病院が治ったと主張しようが、事実障害性疼痛により患者が苦しんでいるのに、病院による治療再開妨害を、裁判所が認めるた事になるのだが、法曹界の人権感覚はどうなっているのか。