#20 地裁患者訴状

訴     状

函館地方裁判所民事部 御 中

平成24529

   住  所 

   原  告            

   住  所 

   原  告          

                  電話番号
                  FAX  



   住  所 

   被  告     社会医療法人
代表者 理事長
                  電話番号 
                  FAX   


損害賠償請求事件
訴訟物の価額 
ちょう用印紙額          



   

第1 請求の趣旨

 1 被告は、原告・F夫に対し、円及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いをせよ。
 2 被告は、原告・F妻に対し、円及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いをせよ。
 3 訴訟費用は、被告の負担とする。
  との判決及び第1項・第2項につき仮執行の宣言を求める。


第2 請求の原因
請求原因の要約

 被告・本病院は、内科医が主治医となり診断書を作成しているが、原告らの診断書について、患部を一度も診た事がない主治医が、原告らを診察していた提携整形外科医の意見やカルテ記録などを確認せずに「治癒に近い状態」の診断書を作成交付した。
原告・F妻が被告・本病院から交付され、函館市福祉課に提出した障害者手帳申請用診断書(甲第1号証)は、入院記録に反する上下肢7級・総合6級相当の「中心性頚髄損傷障害無し」であったため、申請は受理されなかった。
原告・F妻が、「診断書記載内容がカルテ記録などに反する」旨指摘すると、被告は入院記録を確認してこれを認め、「中心性頚髄損傷による体幹障害無し・下肢障害4級相当」の訂正診断書(甲第2号証)を作成し、原告に提示した。
これに対し、原告が「F妻の中心性頚髄損傷は、後遺障害等級9級以内が確定する治癒例の無い傷病」と指摘すると、被告は原告・F夫の保険金給付妨害を始め、入院記録があるにも関わらず「原告・F妻が退院3箇月後の極一部の再計測に応じなければ診断書交付しない。」と主張し、「中心性頚髄損傷の障害無し診断」訂正は拒否した。
被告は、調停でも再計測に固執するので、原告はこれに応じたが、被告は退席し調停不成立、その後も診断書交付を拒否した。
これは判例上の転医義務違反である。
原告は、他の病院への紹介状交付を被告に求めたが拒否された。
その結果、原告・F妻は、他の病院の診察が受けられないため薬剤が処方されず、現在も症状が悪化し続け、所定の保険金が給付されていない。
また、原告・F夫も、所定の保険金が給付されていない。
被告・本病院入院に関する経緯
 
 原告・F夫・F妻は、平成23122山梨県旅行中に交通事故に遭い、山梨県立中央病院に入院。
 原告・F夫は、腹腔内出血・胸骨・左肋骨6本骨折・大腿骨折で、手術は大腿。
 原告・F妻は、中心性頚髄損傷・腹腔内出血・大腿骨折で、手術は大腿のほか、腸閉塞2回・胆嚢摘出。
 

 平成2339日、山梨リハビリテーション病院に転院し、原告・F夫は脚部のリハビリ、原告・F妻は中心性損傷と脚部のリハビリを行なった。
 尚、原告・F妻は、病院入院中、転院間際まで重症患者扱いで、入浴には介助員が付き、転院前の院内美容室の短時間利用も禁止された。
 病院は関東・中部にも評判の病院だったので継続治療をしたかったのだが、受傷後3箇月前後までの治療が重要という事で、転院先病院の治療モチベーションのために平成2347日被告・本病院に転院となった。

 
 平成234713時に被告・本病院リハビリ科に転院したが、本病院は整形外科医が常駐していないので、提携整形外科医の診察は後日となった。
 転入院時恒例のレントゲン撮影後に、被告・本病院内科医の主治医が血圧・糖尿について初診察。
 その際、主治医は原告・F妻のレントゲンを見て「もう治っている。」と発言し、以後退院まで本病院では軽症扱いであったが、頚椎ならレントゲンで診断出来ても、中心性頚髄損傷はMRIでしか診断出来ないものである。
 尚、提携整形外科医の診断内容は、山梨2病院と同様であった。
 
 原告・F夫は平成2366日退院し、以後手術予定の提携函館病院に月1度通院、薬剤処方のみ4週毎に被告・本病院で受領。
原告・F妻は平成23719日退院し、薬剤処方のため4週毎に被告・本病院に通院。

 入院中のトラブルは一切なく、退院後も作業療法士と交流があり差し入れする等、良好な関係を維持していた。


請求の原因となった被告による診断書作成に関する経緯

 原告・F夫は、入院中の平成2361日に被告・本病院に保険会社向けの診断書3通作成を依頼し、平成23810日交付され各所に送付した。

 原告・F妻は、入院中の平成23710日に保険会社用診断書と函館市福祉課向けの障害者手帳用診断書の4通作成を依頼。
 平成23824日交付された診断書を各所に送付・提出したが、障害者手帳用診断書(甲第1号証)については日付・傷病名が未記入であったため、被告・本病院に記入依頼の後、再提出しなければならなかった。

 平成23926日頃、被告・本病院から原告・F妻の障害者手帳申請却下の連絡があり、原告らは受理基準を満たしていなかったものと了解し、疑問に思わなかった。
 しかし、平成23105日頃、函館市福祉課から「(市側が却下したのではなく)患者本人が取り下げた」と聞いたため、原告・F妻の診断書(甲第1号証)記載内容を初めて確認した処、中心性頚髄損傷は(障害固定ではなく)完全治癒、後遺障害ほぼ回復、大腿骨折等の障害がやや残る旨の上下肢7級相当の記載であり、入院中の症状やカルテ・リハビリ記録に反した記載になっていた。
その点を被告・本病院に指摘し、訂正を申し入れた。
 被告・本病院は原告の指摘を認め、診断書を再作成する事になったが、市には「退院後に症状が悪化したので再提出する」と虚偽説明していた。
 
 その後、再診断・再計測無しに平成231013日作成提示された原告・F妻の診断書(甲第2号証)は、下肢4級相当に訂正されていた。
同診断書記載の生活状況・筋力・可動域は、一部未だにカルテ記録等に反しほぼ正常記載済みになっており、頸・体幹・指の可動域・筋力のみ空欄・要再計測となっていたが、所見等は山梨2病院の診断に準じた重症記載になっていた。
但し、中心性頚髄損傷治癒診断に訂正は無く「体幹障害無し」となっていた。
  尚、この訂正診断書内容の説明面談の際には、日頃「整形外科の事は何も解らない。」と言っていた被告・主治医は同席せず、被告・リハビリ科長の理学療法士が説明した。

説明面談で原告は「事を荒立てる気はない。入院記録をそのまま記載してくれればいい。」という原則を伝えた後、「中心性頚髄損傷は、後遺障害等級9級以内の後遺障害が確定する傷病なので、『体幹障害無し』は誤りではないか。『体幹の痺れや温痛感覚障害が、大腿骨折に起因』という診断では、整合性が無いのではないか。」などを指摘したが、被告・リハビリ科長は「入院中の症状・記録から下肢4級に相当した。体幹障害は無い。」と主張した。

 被告・主治医が提示した訂正診断書(甲第2号証)の所見等は、山梨病院所見が転記されていたので、体幹障害確認と一部計測項目の訂正で決着する話であった筈が、この話し合いに同席していなかった被告・主治医が、原告契約の保険会社からの診断確認問い合わせに「弁護士に依頼しているから」と独断で回答を拒否し、原告・F夫の保険金給付妨害を始めていた。

保険会社からの診断確認」とは、原告・F夫が胸骨・左肋骨6本を骨折していたため、胸部変形があれば保険金給付対象になるのであるが、F夫退院時に作成された診断書には「変形」の記載が無く、また保険会社の確認問い合わせに対し被告・主治医は「変形は無い。」と回答していた。
被告・主治医は、入院以来一度も患部を診察した事が無い医師であったので、平成23930日の通院診察時、胸部を見せ変形確認を依頼した処、当初主治医は「自分は内科医だから診断出来ない。」と拒否した。
そこで「誰が見ても判る程度の外観上の変形確認だけなので、内科医でも可能。入院中一度も診察していないのに、『変形は無い』と診断報告した医師が訂正して頂かないと」と原告が主張、主治医は了解し「変形があるのを確認したので、その旨保険会社に回答する。」と約束していたものである。

平成231016日頃、保険会社から「主治医が診断回答を拒否した。」旨の連絡があったので、被告・担当看護師長に「原告・F妻の診断書について話し合い中に、原告・F夫の保険金給付妨害を始めた事」を抗議すると、担当は「弁護士には依頼していないので勘違い」と回答したが、以後給付妨害を継続したままで、原告からの電話・メール・手紙はほぼ無視状態となった。

契約保険会社2社から「中心性頚髄損傷を『治った』という診断は、常識的に有り得ない。」、うち1社から「通常、中心性頚髄損傷患者は、退院後も34箇月治療を継続するものなのに、治療終了していると聞いて驚いた。中心性頚髄損傷を頚椎捻挫と思って誤った治療をしていたのなら、奥様が心配なので別の病院に転院した方がいい。」と勧められたので、平成231027日で薬剤が切れる事情もあり、平成231020日頃、函館病院への原告・F妻の紹介状と原告・F夫の薬剤紹介状の交付を被告・本病院に依頼したが、拒否された。

調停とその後の経緯

症状悪化のため紹介状無しで病院に受診申込をしようとしたが、医師法の応召義務規定に関わらず、事故患者の場合には「医師会指針で紹介状が無ければ受診出来ない」と断られた。保険会社・西警察も、医師会に問い合わせ・確認済み。

被告・本病院が紹介状を交付しないので転医出来ず、診断書の訂正もされないため保険金が給付されず、薬剤が処方されないために症状が悪化し続けているので、調停を申し立てた。

平成24112日、第1回調停は事務官の方の「条規に基づく申立」ご指導により、申立趣旨は
  • 診断書適正作成
  • 療養指導の実施。
  • 紹介状交付
 以上の3項目。調停で被告は「診断書交付のための再計測」を主張していた

 1回調停後、担当事務官の方のご指導で、申立趣旨変更。
  • 体幹障害無しの診断根拠明示
  • 障害者手帳用診断書の入院記録に基づく記載
  • 保険給付妨害の停止
  • 退院時に交付した保険会社用後遺障害診断書の訂正。
  • 紹介状交付・・・以上5項目。

平成2431日、第2回調停。
 被告側は、調停前に「短時間で退席する。」旨、申告。
 原告は、調停員の先生方の助言を受け「再計測に応じる」と譲歩したが、被告側は退席し調停不成立となった。
 尚、その際「紹介状は交付する」との事であった。

平成2431日、紹介状について被告・本病院に連絡すると、同月6日事務長から「当院から病院に直接お渡しする。」、同月10日に提携病院・医師を指名して「9日にお渡ししたので、予約無しで受診するよう」指示された。
平成24316日、病院で受診出来たが、本病院では患部以外を含む20枚以上という多数のレントゲン撮影後に診察が行われ、医師は「事故の怪我は治癒している。今の障害は、事故とは無関係の坐骨神経痛など」と診断しようとした。
原告が医師に「事故原因ではなく坐骨神経痛などと診断する根拠は? 紹介状は来てないのか?」問うと、医師は「坐骨神経痛とは言ってない。紹介状は簡単なのしか来ていない。」と変更し、「ここは急性期の病院で薬剤処方箋が出せないので、他の回復期病院に紹介状を書くからそちらで受診しろ。」
その後、「(山梨でMRI診断していても)ここでもMRI撮影しないと『中心性頚髄損傷の疑い』としか診断出来ず、紹介状に正確な情報が書けないので、紹介状は書かない。」と主張を変え、結果薬剤処方も拒否された。
提携医師のレントゲン撮影方、診察方、診断方、処方箋交付拒否、紹介状交付拒否について不審があったので、当然医学的根拠があるものと考え病院に質問したが、病院は一切答える事が出来なかった。


被告・事務長に、紹介医師の対応を伏せたまま、「紹介先先生の診察で良く判った。障害者手帳の診断書はどうなる?」と問うと、「昨年10/13付け訂正診断書(甲第2号証)を空欄のまま交付するので、紹介先先生に渡して相談してみて。函病に診断書を作成依頼するなら、本病院受領済みの診断書作成料金は返金する。」と親切に応えた。

被告・事務長が「3項目空欄のまま交付する」という点を市に相談した処、「審査する道庁にも専門家がいるので、『体幹障害無し』と記載されていても、中心性頚髄損傷の傷病名と入院中の症状に障害程度が記載されていれば、事情を考慮して、空欄のままでも受理する。」と好意的対応。

そこで被告・事務長に「提携病院は急性期の病院であり、処方箋が交付出来ないそうなので、回復期の病院紹介状を交付してくれ。また、一部空欄のままでも市は受理してくれるそうなので、障害者手帳用診断書(甲第2号証)を交付してくれ。」と要請すると、被告・事務長は「紹介状は事情が分からないから提携医師に確認したい。市宛ての診断書提出は理解出来ないので確認したい。」と回答。

急性期病院は、回復期患者に薬剤処方が出来ない。」というのは提携病院の方針なので、被告・事務長が原告を信用しないのなら、提携医師に確認せずとも受付に匿名で問い合わせても確認出来る。
回復期病院への紹介状交付の意思があれば、昨年10月に紹介状を交付していたであろうが、提携医師らの話では、被告(発言者不明)は「(原告は)障害者手帳用診断書を作成要求しながら、電話をしても診断に必要な計測に応じない患者。医師の指示を聞かない患者。」などと発言している。
三者が聞けば、患者が医師に障害者手帳目当ての虚偽診断書作成を要求しているように思わせているし、他病院に紹介出来ない悪質な患者と思わせている。
しかし、カルテ等の記録に反する虚偽診断書を作成したのは被告であるし、これについて原告の電話・メール・文書・調停を拒否し続けて来たのも被告である。
また、本病院内の定例ミーティング時、看護師・療法士・相談員を前にして、「整形外科の事は何も判らないから、リハビリの先生に聞いて。薬の事は何も判らないから、前の病院の先生に聞いて。」と言っていた被告・主治医に、入院中は勿論、退院後4箇月間、薬剤処方箋を受け取る以外に何か指示された事は一切無い。

これ以上、誹謗中傷されたくないので、紹介状・診断書、どちらも再要求せず、被告は交付拒否したまま、民事裁判に至る。


被告・本病院の対応方

相談員
当初、診断書(甲第1号証)の虚偽作成が判明した際、被告側の原告対応は相談員が行なっていた。
平成23105日頃、原告が「MRIにより中心性頚髄損傷が診断された場合、後遺障害9級以内が確定する障害なので、『後遺障害ほぼ治癒』という現在の診断書は誤りである。また記載項目は、退院間際のリハビリで、作業療法士介助の杖使用、1時間掛けて約700m歩行が1度だけだったのに、『杖無し2Km歩行可』となっている。温痛感覚は依然喪失なのに、『温度感覚低下(まで回復)』になっている。頸・体幹・指などの可動域が異常のままなのに『正常』になっている。カルテ等に異常記録があるのに、いつ正常値を計測したのか。」など、抗議した。
これに対して相談員は、「MRIにより後遺障害9級以内が確定なら、作成した診断書は間違っていたかもしれません。申し訳ありませんでした。」と被告側ではただ一人謝罪してくれた。

訂正診断書(甲第2号証)3項目のみの空欄があるのは、この時に原告が3項目のみを指摘したからだけで、実態は、正常記入済の両肩、左膝にも可動域異常の記録がある。
後に、被告・リハビリ科長や看護師長は「他項目はカルテに正常記録があったから記入済。(カルテ記録があるのに)空欄3項目の計測に応じなければ診断書を書けない。」と、診断書交付拒否の口実に利用した。


副院長(内科医)
病院側の非を認めた相談員は、実質的責任者である副院長に相談したらしいのだが、相談員から電話があり、「副院長から、お話がある。」というので受けると、主旨は「相談員に相談するのは止めろ。」であった。
虚偽診断書(甲第1号証)をどうするのか全く説明がないので、「後遺障害9級以内が確定する障害を、『障害ほぼ治癒』とした診断書をどうするのか。」と問うと、「後遺障害基準では9級以内が確定しても、障害者基準では14級にも該当しないただのムチウチなので、自覚症状は障害と認められない。」と答えた。
同じ患者を診断した医師が、保険会社用診断書には9級以内に該当する症状を書いて、障害者手帳用診断書には14級にも該当しない症状を書く・・別の診断・症状を記載する事があるのか。」と問うと、「そうだ。」と答えた。
副院長は、頚髄損傷と頚椎捻挫・頚椎損傷の違いを理解していない医師である。
それでは、診断書をどうするのか。」と問うと、「わからない。」と答えた後、一方的に電話を切ったので、原告から病院に電話し直したが、以後電話に出ず、掛かっても来なくなった。
相談員に抗議すると、誠実に対応しようとしてくれたが、病院としての対応は無かった。

1週間後、誠実な相談員は担当から外れ、看護師長(職名失念)から「今後は、自分が対応窓口となる。診断書を作成し直したので、病院に来てくれ。」と電話があった。
看護師長・相談室長・リハビリ科長・事務長が出席し、訂正診断書(甲第2号証)が提示され、説明が行われた。
原告は、訂正診断書を持ち帰り内容を検討、カルテ等に反する記載項目や中心性頚髄損傷に関する指摘を項目化したメモをメールし、訂正診断書返却時に再説明を受けた。


リハビリ科長
リハビリ科長は担当療法士ではなかったが、転院直後から原告・F妻を代務施術していた。
山梨リハでは、頸部の施術は危険という事で、被告・本病院への転院間際に慎重に開始され、圧潰していた頚椎3個のうち1個を修復してくれたが、本病院に転院すると、すぐに苦痛を伴う首の運動が始められた。
病院・療法士にはそれぞれのやり方があるので抗議はせず、苦痛の程度により中断して貰ったり、無理はされないよう心掛けつつ施術されていた。
ただ、理学療法士は、頚椎3個圧潰のレントゲン写真を「異常はない」と診る事が出来ず、「手術していないので、大した怪我ではない。もう治っている。」など発言していたので、中心性頚髄損傷を頚椎損傷ではなく頚椎捻挫と認識していたようである。
また、訂正診断書(甲第2号証)説明時にリハビリ科長は、原告が「下肢障害により、温痛感覚の喪失や体幹・手足の痺れが残るという診断は、医学的に整合性がないのではないか。」と指摘しても、「体幹障害は寝たきりの事」と体幹障害1級限定該当の誤った説明を行い、「体幹部の後遺障害は無い。」と断定主張した。
これは、原告の入院3箇月間、中心性頚髄損傷の「痺れ」が、数時間正坐直後に立ち上がっている状態である事をイメージ出来ず、外見を見ただけで「治っている」と発言してきた科長や理学療法士の施療知識不足である。
原告の入院中、被告・主治医・看護師・療法士らは何度も「まだ痺れてるの?」と聞いてきたが、「中心性頚髄損傷の後遺傷害」であるという初歩的知識が無く、頚髄損傷という傷病を理解していなかったという事である。


事務長
事務長は、面談説明時に「患者が訂正を求めるので応じた。」という趣旨の発言をしたので、原告は「入院記録に反する診断書を作成した事を認めるのが前提」と確認したが、事務長には患者に迷惑を掛けたという意識が感じられなかった。

平成23112日頃、被告側に17項目の質問・抗議・要請を配達証明で送付した処、事務長は内容には一切回答せず「説明済み」とだけ答えながら、診断書提出時に記入漏れで市・福祉課に往復させた事のみ謝罪した。・・・収めたいのか揉めさせたいのか、理解不能の対応であった。

平成243月調停時は事務長が対応したが、第1回調停で原告に診断書記載項目の再計測に応じるよう主張しながら、原告が申立趣旨を核心的内容に変更すると、第2回調停で原告が「計測に応じる」と回答しても、解決を拒否し調停不成立とした。
被告の「(原告が)計測に応じないから、診断書が交付出来ない」は、虚偽である。

また、調停後に事務長は「(担当・看護師長に変わって)今後は自分が窓口になった。」とメールで返信して来たが、被告の虚偽診断書内容を「虚偽ではない」と診断する提携病院医師のみに転医紹介しただけで、その後、「紹介提携病院では薬剤処方出来ない」と伝えても、薬剤処方可能の病院への紹介状交付を拒否した。


担当看護師長
 窓口であった担当看護師長は、常識的な方だったと思うが、訂正診断書説明中に出席していなかった内科医が、勝手に保険金給付妨害を始めた事について、原告から抗議された点については、災難であったと同情する。
 しかしその後、原告からの紹介状交付要請に対し「交付する」と約束したのに、上司に拒否されたためか、途中で電話を切る・折返し電話の約束を守らないなど、窓口として対応する権限も責任も無かった。
主治医
 原告らの入院により約500万円ほどの診療報酬を得ていた被告・本病院が、その後も通院継続していた患者に対して保険金給付妨害、転医紹介状交付妨害、薬剤処方妨害、診断書作成妨害を行い、経済的損害・精神的苦痛・肉体的苦痛を7箇月経過した現在も与え続けている。
その張本人でありながら、原告らには一切接触しない無責任な方である。


補足1、関係機関の対応方
 保健所の医療相談・函館西警察に相談。
原告らの窮状については同情され、「紹介状を出せば全て解決するのに、何故書かないのか。」と逆に聞かれたが、結論は「法の解釈は医師絶対有利なので、不満があれば裁判するしかない。」という事であった。
 弁護士に依頼しようとしても、医療過誤は躊躇するようで、話も聞かずに断られるのも6件あった。


補足2、原告・F妻に県立山梨中央病院から交付された中心性頚髄損傷MRI診断画像CD(甲第7号証)について
平成2338日、山梨病院退院前に、看護師長からCDが手渡された。
原告が「次の病院に渡すのか?」と問うと、「医療関係者は分かってるから、渡さなくてもいい。何かあった時のために、大切に保管しておいて。」との事だった。

中心性頚髄損傷の診断がある時、被告のように、中心性頚髄損傷を頚椎捻挫と間違える医師はいない。
函病医師のように、山梨のMRI診断を否定し、MRI再撮影に応じなければ、保険会社に『中心性頚髄損傷の疑い』と報告するような非常識な医師はいない。
また、症状悪化原因確認のためなら再撮影も有り得るが、「修復していないかを確認のため再撮影する」という医師はいない。
従って、被告らは、医療関係者としての常識が欠けているという事である。

当然、保険会社は、MRI診断があれば(画像病院保管を前提に)、中心性頚髄損傷を疑ったり、再撮影を要求する事は無い。(下線部分は、文書にして提出を指示されたので削除)



医師法20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」

 被告・本病院は内科医しか在籍していない病院であるが、提携病院である函館病院などから定期的に整形外科医が出張診察を行ない、整形外科医が建前上、療法士にリハビリ指示し、治療が行われている。
 そして、被告・本病院内科医が主治医となり、提携整形外科医の診察・治療・診断・薬剤処方に基いて診断書等を作成するのが建前なのであるが、原告らに関する診断書作成交付実態は、整形外科に関する診察をしない内科医が、患者退院時に整形外科医の診断やカルテ記録等を確認する事無く「治癒に近い状態」と安易に診断書交付している。



医師法22条 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。」

 平成2310月以降、被告は原告らの紹介状交付を拒否して来た。
その結果、原告・F夫は平成243月末まで、原告・F妻は平成245月末現在も薬剤処方が受けられていないため、特に「医師の指示無く服用を中止してはならない。」薬剤を止められたF妻の苦痛は甚だしいものである。
函館西警察及び関係機関の見解では、「形式的な看護師の血圧測定でも、医師による診察と看做される。また一回の診察から4箇月以上過ぎていても、患者を直接診察せずに薬剤処方を決定出来る。」というものであったが、被告・本病院の見解は「診察しなければ、薬剤を処方しない。」であった。

原告・F夫の場合、被告・本病院入院中は、提携整形外科医と主治医の内科医がそれぞれ診察し、主治医が骨折関連の薬剤・血圧の薬剤をまとめて処方していた。
本病院退院時に、看護師に「薬剤処方も移す?」と確認され、入院中と同様に本病院でまとめて処方出来ると聞いたので、退院後は手術予定の提携病院で同じ整形外科医の診察を受け、本病院では血圧の診察を受け、被告・主治医が入院中と同様、まとめて処方していた。
平成2310月、原告が薬剤紹介状を求めると、紹介状交付を拒否した上に、提携医師の薬剤診断に反し、薬剤処方を5箇月間拒否したのである。

原告・F夫の被告作成診断書に関する被害について

原告・F夫の大腿骨折について、被告・本病院入院中の提携整形外科医の診断は、「右大腿骨折部に埋め込んでいる右側プレートと左側ネジが関節に当たり、疼痛により通常歩行困難。大腿骨の形成具合を診て、半年後に手術を要する。」というものであった。

患者は、医師・病院を原則信頼するものであるから、被告・主治医が交付した保険会社用後遺障害診断書(甲第5号証)は、整形外科医の診断を確認の上、記載されているものと思い込んでいた。
しかし、同診断書の記載は、「自覚症状」の項に「右下肢痛」の記載はあるが、「膝関節機能障害」記載項目に、平成15110日・障発第0110001号の厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長通知「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」にある「疼痛による機能障害:客観的に証明でき又は妥当と思われるものは機能障害として取り扱う。」が反映されていない。
また、「障害内容の見通し」の項に、確定していた再手術予定について「再手術を要する可能性」のみの記載はあるが、膝関節機能障害の記載がないため、「何故、再手術を要する」のかが理解されない診断書になっている。


医師法19条第2項は、医師は診断書交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ拒否出来ない旨規定しているが、保険会社からの胸部変形問い合わせについて、被告・主治医が診断回答を拒否したため、膝関節機能傷害と共に約7箇月間にわたり所定の保険金給付が受けられていない。
尚、被告作成の退院証明書(甲第6号証)も、「治癒に近い状態」とのみ記載されているが、平成24112日の函病整形外科医の診断では、「大腿骨折部に間隙があり、プレートを抜くと骨折の可能性がある。将来も骨形成の可能性は無いので、松葉杖使用で疼痛による歩行困難に慣れるしかない。」というものであった。


原告・F夫は、平成23810日付け記載不十分の診断書により所定の保険金給付が行われていないため、経済的損害を被っている。
また被告は、同年9月に胸部変形診断内容が事実ではなかったと知った後も、医師の立場を利用し、明確な意図を持って約7箇月間保険金給付妨害を継続している。
円満に被告・病院を退院し、通院しつつ障害を持ちながら社会復帰しようとしていた原告に対し、患者の回復を支援する立場の病院が、調停に応じる事もなく、長期間に渡り、原告を経済的・精神的に追い込んできたのである。

原告・F夫は、被告に対し金 円の支払いを求める。







原告・F妻の被告作成診断書に関する被害について

原告・F妻の中心性頚髄損傷について、整形外科・保険業界の常識では、MRIにより中心性頚髄損傷が診断されれば後遺障害等級9級以内の障害が確定する。
然るにその知識が無い被告主治医が整形外科医の診断も確認せず入院中のカルテやリハビリ記録に記載された治療障害内容も確認せずに保険会社用後遺障害診断書(甲第3号証)障害者手帳用診断書(甲第12号証)を作成交付した

保険会社用後遺障害診断書(甲第3号証)の記載は、自動運動項目が未記入のままであり、他動運動項目は、作業療法士が測定した右拇指を除き、原告のものではない標準的な正常値が記載されている。(尚、同時期に作成された障害者手帳用診断書では、右拇指も「正常値」が記載されていた。)
しかし、実態は頸・体幹の他、両肩・左膝・右拇指の可動域に異常があり、リハビリを行ない且つその記録がある。(担当看護師長に確認。)
また、「主要症状」「障害内容の見通し」の項では、事故後一貫して温痛感覚が無いのに、「温度感覚低下」に緩解している旨記載され、後遺障害等級9級以内が確定している後遺障害について「見通しは定かではない」と、障害が固定していない旨記載されている。
温度感覚喪失については、被告・本病院転入院時に温痛感覚検査をしたのに、本病院関係者には温痛感覚喪失患者という認識が全く無く、注意を払われる事も無かった。
現在、温痛感覚喪失範囲は、痺れが酷いため気付き難かったが、左腕だけでなく左半身に及んでいる。
尚、後遺障害保険を契約していたアメリカンホーム保険会社担当者によれば、「平成243月に、(被告から)『診断書に(訂正ではなく)追加したい。』との申し入れがあったが、『追加なら受領済みの診断書により査定終了している。』と応えると、追加内容の説明も無く電話終了した。」との事であった。

被告作成の退院証明書(甲第4号証)は、頚髄損傷を「治癒に近い状態」と転帰欄に記しているが、被告は頚髄損傷と頚椎損傷・頚椎捻挫を誤認している。
被告・主治医は、レントゲンを見て「もう治っている」と発言し、副院長、科長や療法士も同旨発言しているが、骨部である頚椎損傷・頚椎捻挫はレントゲンで「治癒に近い状態」を診断出来るが、中枢神経の損傷である頚髄損傷はMRIでしか診断出来ない。
また、頚髄損傷の治癒例は、世界的にも存在しない。
被告の主治医・看護師・療法士らは、頚髄損傷患者に頚椎捻挫の治療・リハビリをして来たのである。


「(虚偽診断書等作成)刑法第160条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。」

原告・F妻の障害者手帳用診断書について「市・福祉課申請却下」後、原告が、同診断書の7級記載内容がカルテ記録等に反する事を指摘すると、被告は真実の診断内容ではなかった事を認め、平成231013日付け4級の訂正診断書(甲第2号証)を提示した。
しかし、この記載内容について話し合いを始めた直後、被告は診断書を交付しない態度に変わり、話し合いに応じなくなった。

患者に不利な虚偽記載は許されると解釈しても、虚偽記載が許される合理的理由にはならない。


原告・F妻は、平成23723日付・保険会社用後遺障害診断書(甲第3号証)の虚偽内容記載により所定の保険金給付が行われていないため、経済的損害を被っている。
また、障害者手帳用診断書(甲第2号証)について、虚偽作成を問題化しようとしていなかった原告に問題化されるのを畏れたのか、診断書作成料金を原告から受領済にも関わらず、被告はその後約7箇月間診断書交付を拒否し続けている。
その結果、原告は行政支援を受けられていない。


 原告・F妻の退院日は、平成23719日であったが、回復期の治療入院期間は、未だ数週間を残していた。
 何故、治療期間を残して退院したかと言えば、被告・主治医が治療限度90日間の原告・F夫の退院と同時の6月初め退院を原告・F妻に勧め、リハビリ科長や理学療法士も何度か「もう治っているようだ。」と発言していたからである。
原告は後遺障害を覚悟していたために「これ以上施術しても、緩解は望めないと専門家が言っている。」と考えた。
 ただ、「これほど障害があっても、専門の療法士から見て『治っている』と思えるほど、平均的中心性脊髄損傷患者よりも回復しているのだ。」とも考えていた。
 しかし、6月段階では痺れや痛みが酷く、明らかに退院は無理だったので延長を申し出た。
被告・主治医は「治療期間は150日あるので可能だが、リハビリすることがなくなれば駄目。」と発言し、その後に理学療法士が「そろそろ退院」と発言する等、治療モチベーションが感じられなかったので、719日退院したのである。

しかし、作成診断書や退院後のリハビリ科長の話から、主治医は勿論だが、リハビリ科長や理学療法士も、中心性頚髄損傷を後遺障害のある傷病とは全く認識せず、手術も不要だった単なる頚椎捻挫と考え治療を行なっていた事が判明した。
そう思えば、前病院の山梨リハは、自立を促すため出来るだけ介助を付けず補助具を使用させない方針の病院であったが、原告には転退院直前まで入浴に介助員が付き、歩行器使用で、杖歩行は練習を始めたところであった。
然るに、被告・本病院に転入院すると、直後から歩行器無しの杖歩行になり、介助員は付かず、病棟でも看護師が軽症扱いするので、同室の軽症患者も窓の開け閉めや雑用を原告に頼む状況で、相手はお年寄りなので苦痛を堪えて応じていた。
そして何より、リハビリは加減知らずだった。

原告らは、30年以上各種入院保険