5-b,高橋病院には脳血管疾患等リハビリ専任医が常勤していない

 F妻の主治医であり、脊髄損傷治療を担当していたSAITO医師は、脳血管疾患等リハビリ専任医では無いことを認めています(地裁準備書面2・別紙5-2・3)。患者はSAITO医師を公表されている2名の脳血管疾患等リハビリ専任医の1人と信じて治療を受けていましたが、SAITO医師は、患者に「リハビリのことは判らないので、何かあったら療法士に聞いて。内科医だから整形の診察は出来ない。リハビリ患者の薬剤の事は判らないから、前病院の医師に聞いて。」と患者・療法士・看護師・相談員ら関係者一堂のカンファレンスの際に公言していた医師で、患者の患部を一度も診察した事がありませんでした。
 心配した療法士が「先生から山梨病院に電話で聞くように頼んであげようか」と言った具体例も述べているのに、裁判官は「問題があったとしても本件とは関係が無い。」と認定しました。

 内科医でも、リハビリ医として勤務する事は可能ですが、「2名以上の脳血管疾患等リハビリ専任医が常勤している」と公表しているのですから、診療契約上、脳血管疾患等リハビリ専任医が患者を診療する義務があります。リハビリ医としての勤務実態が無い医師が診療を担当すれば、診断を誤り、誤った治療が行われ、誤った診断書が交付される事になり、医療安全上適切とは言えません。

 しかし、SAITO医師は「山梨リハビリテーション病院から病状の引継ぎがなされていることから、『脳血管疾患等リハビリ専任医の診察なしにリハビリが実施されたため、頸椎捻挫と誤認したリハビリ診療となった』事実はない。脳血管疾患等リハビリ専任医が患者を「直接」診察しないことが診療契約上の債務不履行不法行為を形成するものでは無い。」(地裁病院準備書面2別紙5-2・3)と主張しました。

 しかし、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)最上級施設の「2名以上の脳血管疾患等リハビリ専任医の常勤」は、リハビリ施設毎に義務付けられている(別紙5-1)ものですので、前病院の脳血管疾患等リハビリ専任医から病状の引継ぎがなされているからといって、高橋病院に常勤する脳血管疾患等リハビリ専任医が当然に診療に関与すべきものです。専任医の内1名は資格要件が定められ、もう1名は専門医でなくても従事可能ですので、内科医のSAITO医師が脳血管疾患等リハビリ専任医として勤務実態があれば、施設基準の医師要件上、問題がありません。しかし、専任医として厚生局に氏名が届けられている医師が、専任医として診療していなければなりません。然るに、SAITO医師は経験あるリハビリ医とだけ主張し、専任医ではない事を認めています。