医業について医師法第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されており、医師(医師免許を持つ者)以外が行なうことを禁止している。


「医療行為及び医療関係職種に関する法医学的研究」報告書

主任研究者/若杉長英(大阪大学医学部法医学教室教授)

研究協力者/今井 澄(東海大学法学部教授)・宇都木伸(東海大学法学部助教授)・村上慶郎(国立療養所箱根病院院長)・若狭勝太郎(日本医師会常任理事)

1.無免許医業禁止の主旨

医師法(昭和23年法律第201号)第17条においては、「医師でなければ医業をなしてはならない」(業務独占)とされ、これに違反すれば同法第31条第1号の規定により2年以下の懲役又は2万円以下の罰金に処せられる。このように医師に医業を独占させ、無免許医業を禁止している要旨は、国民の公衆衛生上の危害を未然に防止することにあると考えられる(なお、歯科医師と歯科医業に関しても同様の規定があり、同様の主旨と考えられる)。
本研究においては、法的・医学的観点から医業の定義・範囲についての考え方を整理し、また医療を取り巻く環境の変化に対応して、医業の範囲等のあり方について検討する。

2.医業の定義

医師法第17条にいう医業とは「医行為を業として行なうこと」とされている。

(1)業性

「業」とは「反復継続の意思をもって行うこと」(大審院判決大5.2.5、刑録22号109、昭39.6.18、医事44の2)というのが判例上の確立した考えであり、学説も同様である。

①「反復継続」

 「業」は「反復継続」を意図した行為で、緊急避難的行為は除外される。救急隊員の行う行為は反復継続を前提としたものであるのであるから業性を有すると考えられ、医事法制上の教育及び有資格者が行うべきである。

②「意思」

「業」は「意思」をもって行われる行為であって(東京高裁判決 昭和42.3.16、東京刑特 18.3.82)、営利を目的とするかは「業性」とは無関係であり(大審院判決 大5.2.5)、偶然反復継続された行為は「業性」があるとはいえない。

③自己及び家族に対する行為

「業」は不特定多数のもの又は多数のものを対象として行うことであって、自己に対する行為は反復継続の意思があっても業から除外される。家族に対する行為もこれまでは自己に対する場合と同様に扱われている場合があるが、すべての行為を自己に対する行為に準じて取扱われるべきかについては、在宅医療の進展等を踏まえ家族の概念と併せて検討する必要がある。(第4項参照)

(2)医行為性

「医行為性」を論じるに当っては、医師の行う行為が刑法上の障害行為の違法性を阻却するものであるか否かの問題と、医師以外の者が医師の行うべき行為を行ったか否かの問題があるが、本報告では後者のみについて論じる。
「医行為」とは「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす虞のある行為」(昭和39.6.18 医事44の2)或いは「医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは生理上危険ある程度の達している行為」(昭和30.5.24 刑集9.7.1093)とされている。
なお、社会保険における療養の給付の対象に該当するか否かの判断は「医行為性」とは独立したものと考えるべきである。

①医行為は、医師の「医学的判断及び技術」が必要な行為である。

医師になるためには、大学において医学の正規の過程を修めて卒業した者などについて(医師法第11条)、臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して,医師として具有すべき知識及び技能について行われる医師国家試験(医師法第9条)に合格し、免許を与えられない(医師法第2条)。禁治産者など一定の欠格事項に該当するものは免許を与えられない(医師法第3条、第4条)。

○医業類似行為は医師以外のものが行う行為であって、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の4種類については免許制度があり(あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律、柔道整復師法)、それ以外の医業類似行為は何人も業としてはならないとされているが(あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律第12条)、禁止処罰の対象は「人の健康に害を及ぼす恐れのある業務行為に限局されている(最高裁判例昭和35.1.27)。なお、医師は医業類似行為を業としてなしうる(昭和25.2.1医収62)。

なお、昭和22年厚生省医療制度審議会においては、「鍼灸、按摩、マッサージ、柔道整復術、医業類似行為営業の取り扱いについて(中略)本来はすべて医学上の知識の十分な医師をして取扱わせるのが適当であると考える。しかしながら(中略)さしあたり(中略)鍼灸、按摩、マッサージ、柔道整復術営業者はすべて医師の指導の下にあるのでなければ、患者に対してその施術を行わしめないこととすること。」との答申がなされたが、視覚障害者等からの反対により、これら4種類は医療制度の外側において法制化された。しかしながら、昭和63年の養成課程に関する法改正に伴うカリキュラム改正においては、大幅に医学に関する教育が取り入れられている。

他方、カイロプラクティックなどの民間療法については、その危険性に関する評価に基づき医行為、既存の4種類の医業類似行為、その他の医業類似行為、禁止処罰の対象とならない行為のいずれかに該当させるか整理を行い、有効性に関する評価をも加え、社会的にどのように取扱うべきか検討する必要がある。

②「人体に危害を及ぼす虞(生理上の危険)」について

医行為又は医業類似行為を免許を所有しない者が行った場合、「人体に危害を及ぼす虞(生理上の危険)」があることが処罰の要件になる。この場合、人の健康に害を及ぼすことが具体的に認められるものであることを要せず、抽象的危険性で足りる(大審判昭和元12.25刑集5.12.597.597東京高裁判例昭和42.3.16刑特18.3.82浦和地裁川越支部判決昭和63.1.28)。

なお、正常な医療を受ける機会を失わしめる虞があること(消極的弊害)も禁止の対象とすべきとの意見もあるが(最高裁判例昭和35.1.27反対意見刑集14.1.331)現状では必ずしも取り締まられていない。また、加持祈祷など客観的に危険性を生じ得ない行為(不能犯的行為)は医行為に該当しない(広島交際判決岡山支部判決昭和29.4.13)。なお、医師の指導監督下に行われる医行為については後述する(第3項参照)。

○直接的行為(患者に対して直接行う行為)について

行為そのものが直接的に人体に危害を及ぼす虞のある行為は、一般的に医行為である。

例 侵襲的行為:採血、投薬、注射、放射線照射、処置、手術、麻酔、生命維持管理の操作等

非侵襲的行為:理学療法、視覚訓練など

行為そのものは必ずしも人体に危害を与える及ぼす虞があるとはいえないが、診療の一環として行われ、結果を利用する等により結果として人体に危害を及ぼす虞のある医行為もある。

例 問診・診察
生理的検査:心電図、脳波、呼吸機能、聴力、眼底、超音波など、傷病者(又はその保護者)の療養上の指導、告知(医師法第23条、保健婦助産婦看護婦法第35条)

他方、身長・体重等の測定、一般健康人に対する保健指導などは医行為とされない。検眼については、通常の検眼機等を用いて度数の測定を行うのは医行為であるが、眼鏡の需要者が自己の眼に適当な眼鏡を選択する場合の補助など人体に害を及ぼす虞がほとんどない程度の行為は医行為とされない(昭和29.11.4 医収426)。
看護婦などの行う医行為と介護福祉士等医事無資格者が行い得る業務に付いては今後整理が必要と考えられる

○間接的行為(患者に対してに直接行うものではない行為)について

検体検査は医行為ではないとされている。
 例 微生物学的検査、血液学的検査
ただし、患者からの検体採取、結果の医学的判断には医師が介在する

③目的は治療に限定されない

医行為であるか否かは、その目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解されている(昭和41.9.26医事課長通知)。

○広義の医療(包括的医療)における行為も含まれる。

医師法(第19条第2項、第22条)の規定に基づく診断書、処方せんなどの交付など証明行為は医行為である(昭和50.4医事課長通知 昭和47.2 医収208)

○治療を目的としない行為について

治療を目的としない行為も医行為に含まれ、美容目的の美容整形行為も医行為とされ(昭和39.6.18医事44の2、医療法第70条第1号)、優性手術、人工妊娠手術も医行為である(優生保護法第3条、第14条)

安楽死、性転換手術などに付いては、これまで行政通達はないが、倫理上の問題は別として、医行為と考える必要がある。体外受精遺伝子工学などの先端技術についても医行為と考える余地があり、今後検討が必要である。

○間接的医行為について

当該患者の為ではない間接的医療行為も医行為に含み得る。採血は医行為とされており(採血及び供血あっせん業取締法第14条)、移植のための生体からの臓器摘出も医行為と考えられる。臨床的実験・治験については、行政通達はないが、医行為と考える余地がある。

なお、死体を対象とする場合は医行為ではなく、死体解剖はそれ自体医行為ではなく、死体解剖保存法の規定により許可された者によって行われる。しかし、剖検後に死体検案書を交付している監察医が行う解剖等は、医行為である死体検案書の交付を前提としたものであり、医行為とすべきだろう。死体(脳死体を含む)からの移植用臓器・組織の摘出は、レシピエントの人体に危害を及ぼす虞があり、検討が必要である。

なお、間接的医療行為及び前記の治療を目的としない行為については、医師が行わなければ人体に危険を及ぼす虞があるという面では医行為といえるが、倫理的観点からみて、医師の良心により拒否することを認め得る余地がある。

④医行為の行われる場所

往診などによる場合を除き、医行為の行われる場所は、医療法上の病院、診療所(助産婦の行う助産に関しては助産所)、老人保健施設に限られる(昭和46.7.31医事67)なお、往診のみに従事する場合は、住所をもって診療所としなければならない。

3.医師の指示下に行われる医行為(相対的医行為)

(1)医業のほかの医療関係職種への部分的解除

看護婦等医事法制上資格を有する者は、医師又は歯科医師の指示、指導監督の下に、医行為(医師の業務独占行為)をなすことを業とすることができる(保健婦助産婦看護婦法第31、37条、診療放射線技師法第24条、臨床検査技師衛生検査技師などに関する法律第2条、薬剤師法第23条)、医行為の一部は条件付で他の医療関係職種に委譲されている。

○絶対的医行為と相対的医行為

医行為のうち医師(又は歯科医師)が常に自ら行わなければならないほど高度に危険な行為を絶対的医行為といい、それ以外の行為を相対的医行為という。相対的医行為を医師以外の医療従事者に行わせるか否かは、医療従事者の能力を勘案した医師の判断による。ただし、このように区分することの是非について疑問を呈する説もある。

絶対的医行為の例 診断、手術、診断書・処方せんなどの交付、医師の指示など。

看護婦の静脈注射に付いては、絶対的医行為とされてきたが、危険性の程度からみて相対的医行為すべく行政上の整理が必要である。

○医師の手足論(医事法制上の無資格者の行う医行為)について

従前より医師の手足として関与するに過ぎない場合は、医師法制上の資格を有しない者も相対的医行為をなし得るとの見解がある。しかし現在では、医事法制上において資格を有さない者は、医師の直接かつ個別具体的指示があった場合に、医師の補助者として人の健康に危害を及ぼす虞のない単純かつ軽易な行為をなしうるに過ぎないとされている(昭和50.6.20医事課長通知)。

○療養上の世話について

看護婦は傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話を業とし、医事法制上の資格を有さない者がその業務を行うことは禁止されている(保健婦助産婦看護婦法第31条)。また、看護婦は医師又は歯科医師の指示があった場合の外、臨時応急の手当をなす等の場合を除き、医師若しくは歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずる虞のある行為をなしてはならない(同法37条)。
療養上の世話については、医師の指示を要しないとする説と療養上の世話と診療の補助の差は行為の目的によるものであり、療養上の世話についても医師の指示を受けるべきであるとの説がある。いずれの説も医師の医学的判断が必要な場合と、看護婦が独自の判断を働かせる領域の存在を認めている。療養上の世話についても包括的には医師の指示下に行われるべきである。

○包括的指示と具体的指示

医師の医療従事者への指示は、包括的に行われる場合と具体的に行われる場合があるが、必ず具体的指示を要する医行為もある。
具体的指示を要する医行為の例 採血、放射線の人体への照射、眼底写真撮影、身体への血液・液体・薬剤の注入、技師装置の手術直後の採型・適合。

(2)指導監督の種類と効果

看護婦等医療法制上の資格を有する者が医師の指示の下に医行為を行う場合、医師の面前での直接監督指導下に行うことの必要なものがある(昭和46.3.18医事52)
他方、医師がその場にいることは必ずしも必要としない医行為もある。この場合、同一室内にいるなど事故が発生した場合に応急の処置をとりうる状態にある(昭和50.6医事課長通知)、あるいは適切な処置をすることが通常可能な状態にあること(昭和40.7医事48)が必要とされている。

なお、今後は、医療の現場の変化をも踏まえ、医療機関外の医行為のあり方について検討を加える必要がある(第4項参照)。

4.医療施設外の医行為

在宅等医療施設外での医療は、医療施設内の医療に比較して、緊急時における医療従事者の対応体制が不充分等、患者の置かれている危険性は高い。そのため医行為についても慎重な取扱いがなされている。
他方、住みなれた生活環境の下で療養をしたいとの患者の要求に応えることは、クオリティ・オブ・ライフ重視の観点から有意義であり、また医療の進歩の面からもこれらに対応する要素が生まれつつあり、在宅での療養は重要性を増しつつある。従って、医療施設外での医行為の取扱いについて、検討を加える必要がある。
なお、在宅医療については、必要な医師の知識および技能は、先端的領域に関することもさることながら、プライマリ・ケア機能やチーム医療に関するものが一層重要であり、そのための教育・研修の充実が必要である。

(1)在宅医療の開始の決定等

在宅医療の開始は、医療チームの形成を前提とし、患者教育及び患者側の状況をも総合的に勘案して決定される必要がある。医療側は、患者又は家族に対して緊急事態・事故への対処等の責任を負っており、又医師にはより高度の応招義務が課せられることになる。在宅医療の適否の判断は医療チームのメンバーの情報・提言を踏まえ、最終的に医師が行う。
在宅医療開始後の継続・中止の判断についても、ほぼ同様に考えられる。

(2)医療関係職種の行う医行為

前述のように医療施設外で行われる医療においては、患者の置かれる身体的危険性は相対的に高いので、医療施設外では、医師の指示下においても医師以外の医療従事者が診療の補助行為(医行為)を行うことは原則としてできないとの運用がなされてきた(第3項(2)参照)。
しかし、在宅医療では医療施設外においての、医師と医療従事者によるチーム医療は、医療施設内に比し重要になると考えられる。従って、今後は、医療施設外において医師の指示下に行われる医療従事者の医行為について検討する必要がある。

○相対的医行為と医師の指示について考えられる具体例

医療施設外の医行為は、人体に及ぼす危害の程度について医療施設内との整合性を図り、患者がより危険な状況に置かれることに鑑みて、その範囲はより限定的に定める必要がある。医師の指示も、看護婦などの医療従事者が医師の包括的管理下に行いうる医行為の内容に加えて、指示の機関も含めより個別的具体的に行われる必要がある。また、患家を訪れる医療従事者の報告、助言の果す役割はより大きくなる。このため、指示及び報告についてのシステムのあり方を検討するとともに、書面の様式を定める等の対応が望まれる。
以下に医行為の具体例を示すが、これは一案であり、さらに医学的な検討が必要である。

医師の指示を必要とする医行為等例

a.包括的指示による医行為:
安静度(入浴・排便等)、食事指導、理学療法、浣腸、経管栄養管理、バルーンカテーテル交換、膀胱洗浄、導尿、人工肛門管理、吸引、ネブライザー、包帯交換、褥瘡管理

b.具体的指示による医行為:
静脈採血、心電図、与薬(経口、経鼻、経皮膚、膀胱内)、注射(皮下、筋肉)、点滴の交換、生命維持管理装置の操作(在宅酸素、人口呼吸器、CAPD)

医師の指示を必ずしも要しない医行為例(包括的指導監督は必要である)

バイタルザンの検査(脈拍、体温、呼吸器、血圧)、採尿、褥瘡の予防、内服薬管理

○絶対的医行為の具体例

在宅医療において、現状では医師自ら行うべき行為がある

例 胃チューブ交換、静脈注射、動脈採血、医学的検査の判断

○医行為と医療施設・医療チーム

在宅医療等における医行為が、人体に及ぼす危害等の観点から適切に行われるためには、医行為と医療施設・医療チームの関係が問題となる。在宅医療という緊急時の対応がより困難な状況において安全性を確保しながら医療行為を行うためには、主治医が患者・家族の状況とチーム医療を担う医療従事者の資質を十分に把握しこれらの者との緊密な連携の下に医療を行う必要がある。そのためには、主治医と医療チームの構成員とが同一医療施設に所属していることが、医療施設内の医療と同様原則的な形態となる。仮に医療施設固有の職員をチームの構成員として確保できず、医療施設がそれ以外の医療従事者に訪問看護等を委託する場合であっても(「医療関連ビジネス検討委員会」報告書参照)、当該患者に対して主治医と在宅医療従事者が特定され、その間に緊密な報告と指導監督による十分な連携が図られる必要がある。この場合、医療従事者個人が非常勤的に医療施設に所属することとなる。
なお、緊急時の対応について、地域医療の中で、当該医療施設、医療チームを始め、緊急医療支援機関を含め、バックアップ体制を明らかにしておく必要がある。

○責任

医行為に伴う事故については、従前、医師の指示下に医療従事者が行為を行う場合であっても、指導監督を行った医師に主たる刑事的・民事的責任を負わしてきた。チーム医療の拡大の下で、今後は医師とその他の医療従事者との間について業務分担のあり方と並行して適切な責任分担のありかたについて検討がなされるべきである。
看護婦などの能力などを勘案して、どの看護婦にいかなる業務・医行為を指示したかという点については、医師は責任を負う。他方、患者の状況の報告や指示を受けるべきことの照会や、実行行為を果す上での注意義務については医師に加えて看護婦も責任を免れない。

(3)機器・システムを用いた遠隔地からの医行為

医療機器・技術の発展に伴い、医療施設内の医師が、医療施設外の患者に対して遠隔地からの医行為を行うことが可能となった。

問題となる例 音声(電話)・画像(テレビ)による診療(問診、視診、聴診、心電図など)

○機器・システムの信頼性に関する評価が必要

動画像における再現性や音声の再現周波数領域など医療上の機器の信頼性については、安全性等に関する薬事上の認可とは別に医療上の評価がなされるべきである。
このような観点からの行政上の認可又は評価システムが検討されるべきである。

○医行為としての意義に関する医学的評価

このような医行為は実際の診察等を完全に代替えできるものではない。しかし、電話再診療等が既に診療報酬上算定できることになっている。
これらの医行為については、その意義、適応及び基盤となるべき要件・環境を医学的に評価し、明確にしておく必要がある。現時点では、その適応としては緊急時の対応、突然死の予防、慢性疾患患者への利便性の提供、在宅における患者の状態の把握等が考えられ、要件としては緊急時を除いて初診でないこと、医師の医学的管理下にあること等が考えられる。今後このような評価について、さらに検討する必要がある。

○医行為を行う上での留意点

機器・システムを取扱うスタッフの確保と、研修による資質の向上が必要である。また、機器使用管理等について指針を作成すべきであり、緊急時に対応するための情報システムの確立も必要である。