地裁において「セラピストおまかせリハビリテーション」に関して釈明を求めた事項

1、 「整形外科外来におけるリハビリテーションの理念と取り組みについて」 (梶浦一郎)・厚労省による「個別指導」 指摘事項によれば、「リハビリテーション専任医師は、主にリハビリテーション指示、リハビリテーション方針・リハビリテーション実施計画の策定に従事する医師であり、リハビリテーションを実施していない患者への診察業務と兼務も可能であるが、割合としてリハビリテーションに「50%以上」関わる医師」とされている。
被告病院において、施設基準に基づき配置されているリハビリテーションに「50%以上」関わる専任医人数について疾患別に明示されたい。
2、 原告らの大腿骨折について「リハビリテーション実施計画を作成し、訓練効果の評価を行った」筈の、運動器リハビリテーション (Ⅰ)医師基準に基づき関係機関に届出された「運動器リハビリテーションの経験を3年以上有する医師又は適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した専任の常勤医師」の氏名・所属について明示されたい。
3、 告訴人F妻の頸髄損傷について「リハビリテーション実施計画を作成し、訓練効果の評価を行った」筈の、脳血管疾患等リハビリテーション (Ⅰ) 医師基準に基づき関係機関に届出された「脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験又は脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受講歴 (又は講師歴) を有する専任の常勤医師」の氏名・所属について明示されたい。
4、 告訴人F妻は中央病院から出張した非常勤整形外科医の診察しか受けていないが、同医師は経験あるリハビリ専任医であったのか?
また、同一人が複数疾患リハビリの専任医である事を厚労省は認めていないので、同医師が脳血管疾患等リハビリ医であったのか、運動器リハビリ医であったのかを特定されたい。
告訴人F妻は、脳血管疾患等リハビリ専任医の診察無しにリハビリが実施されたため、頚椎捻挫と誤認したリハビリ治療となったのではないか?
5、 原告らのリハビリ終了を決定したリハビリ専任医を特定されたい。
6、 被告病院のリハビリ実態は、文字通り「セラピストおまかせリハビリテーション」に該当するという認識の有無について明示されたい。
7、 厚労省による「個別指導」 指摘事項において、「医師は、全ての患者に対し、毎回リハビリテーション前に、必ず診察を行い、診療録に病理学的所見などの評価項目を記載すること」とされているが、入院患者の場合は1年365日、毎朝、医師が診察しており、無診察の投薬・検査・処置・リハビリテーション等は無いという大前提があるため、入院患者のリハビリテーション前診察については、ほとんど厚労省による指導対象とはならなかった。
しかし、被告病院の場合、毎朝医師が原告らの診察を行っていた事実はなく、セラピストか看護師が血圧測定する程度で、医師とは週に1回顔を合わせるか否かであった。
また、リハビリ実施の土日には医師は休みで、診察不能であった。
入院患者のリハビリテーション前診察は、いつ行われていたのか明示されたい。
8、 厚労省の個別指導において、無診察リハビリ・診療録記載不備は診療報酬の自主返還の対象になるものである。被告は無診察リハビリ開始や障害者手帳用診断書虚偽記載並びに診療録記載不備を口実に再計測を強要したが、過去に無診察リハビリ・診療録記載不備により個別指導を受けた事実の有無について明示されたい。
9、 リハビリ処方内容は、「整形外科外来におけるリハビリテーションの理念と取り組みについて」・厚労省による「個別指導」 指摘事項において「例えば筋力増強訓練と記載するだけでなく、訓練箇所、訓練方法、訓練期間などを記載しなければならない。」とされているが、被告病院で同じ診療録に基づき作成された筈の障害者手帳診断書甲1号・甲2号記載内容が異なっていた理由を明示されたい。
10、 リハビリテーション・カンファレンスへの専任医師の参加状況について明示されたい。
11、 7月7日付け準備書面(答弁書)2頁の厚労省集団指導テキスト記載の「無診察治療等の禁止」は単年度方針ではないが、「無診察治療等の禁止」の「集団指導」を受講した被告医師名または被告病院関係者名と、受講年度を特定されたい。
12、 1件当たりレセプトが高点数であった事などにより、被告病院が過去に厚労省から「集団的個別指導」を受けた事実の有無について明示されたい。
13、 被告病院が過去に厚労省から「個別指導」を受けた事実の有無、並びに受けた場合の選定事由について明示されたい。
14、 被告病院が過去に厚労省から「監査」を受けた事実の有無、並びに受けた場合の選定事由について明示されたい。
15、 被告病院が過去に「医療法第25条第1項の規定に基づく保健所による医療機関の立入検査」を受けた事実の有無、並びに受けた場合の選定事由について明示されたい。
16、 告訴人F夫の大腿骨折リハビリ日数上限は被告から90日間と聞いていたので、平成23年6月に被告病院を退院したが、平成22年厚生労働省告示第69号・平成24年厚生労働省告示第76号によれば「平成23年2月1日手術日から150日間」が上限だったのではないのか。
 また、胸骨・左肋骨6本・右大腿骨折は、算定日数上限の適用除外疾患に該当する「多部位外傷」であり、この場合、日数上限を超えて大腿骨折・両股関節・左肩関節の治療が継続出来たと共に、1日当り34,700円の入院保険が追給されていた事になる。
原告について、「算定日数上限の適用除外疾患患者」という認識の有無を明示されたい。
17、 告訴人F妻は、同じく大腿骨折リハビリ日数上限は「手術日から150日間」、脳血管疾患等リハビリ日数上限は「発症日から180日間」であるが、入院中50針以上の腹部切開手術を2回施術されている。
これも、算定日数上限の適用除外疾患に該当する「多部位外傷」であり、上限日数適用除外となる。この場合、別病院で頚髄損傷の治療が継続出来たと共に、1日当り29,700円の入院保険が追給されていた事になる。
平成23年10月に転医出来ていれば、最低限約90日間、若しくは被告病院入院約100日間と同期間以上の頚髄損傷入院治療が継続でき、入院保険が追給されていた。
原告について、「算定日数上限の適用除外疾患患者」という認識の有無を明示されたい。
18、 被告病院のリハビリ医師配置がリハビリ施設基準を満たしているか否かは、被告の釈明で明らかになるのであろう。
ただ原告の知る範囲では、被告病院のリハビリ医師配置は、函館病院・中央病院から各2名の整形外科医が週1回程度出張診察する非常勤体制であり、リハビリ施設基準である勤務の50%以上をリハビリ診療等に従事する専任医ではなく、同医師らは、整形外科専門医であってもリハビリに関してはセラピスト並みの知識もなかった。
また彼らが、脳神経外科神経内科の専門医であったのかは不明であるが、少なくとも函館病院医師は、同病院で整形外科医として勤務している。
従って、急性期病院で脳神経外科神経内科専門医の診察治療を受けてきた患者に対し、回復期被告病院に転院後もリハビリ医が神経内科医等である必要はないが、豊富な脳血管疾患等リハビリ経験や脳血管疾患等リハビリ研修歴がある医師による診察等が行われているのか、大いに疑問がある。
告訴人F妻に対しては、脳血管疾患等リハビリ医による診察・治療・リハビリ指示が行われず、不法不当な「セラピストおまかせリハビリテーション」体制で運営してきたために本件問題が生じたのではないか。
無診察リハビリテーション実施や無診察診療録記載または不備、無診察診断書交付など、原告らのみならず長期間に渡り多数の患者に適正なリハビリを実施していなかったのであれば、厚労省北海道厚生局・保健所などによる指導・監査・立入検査対象であり、診療報酬の自主返還という経済措置が執られるべきものである。
被告が「専任医により適正診療が行われてきた」と主張するなら、原告らに対する「リハビリ施設医師基準を満たすリハビリ専任医」の診察・リハビリ指示・診断内容を明示されたい。
尚、原告は、被告リハビリ施設医師について、釈明内容を検討して厚労省に情報提供するので、準備書面による釈明を求める。

 その後、病院からの釈明、反論等一切無い状態で、裁判は進行した。
これについて裁判官のコメントは、「縷々主張するが、本件とは関係がない。」とのこと。
「セラピスト(療法士)お任せリハビリテーション」という、療法士が医師の代行をする医師法第17条違反(罰則付き)の医療体制は本件に直結しているのに、病院に都合の悪いことは全て無視する裁判官で、被害者の患者が病院の脅迫に従って「脊髄損傷治癒を認めなかった原告に非がある。」ってんだから、ヤッテランナイわ。