裁判官は、証拠の診断書も見ずに「診断書は正しい」と判決しただけじゃなく

 正常な人間の読解力があるなら、「脊髄の損傷による運動マヒと感覚マヒの残存。 運動マヒは右側にくらべ、左側で筋力低下を認める。 感覚マヒは左前腕の温痛覚障害と両手両足指のシビレ残存。また頸部に痛み残存。 
 これらにより握力の低下と荷物を持つことが困難。屋外移動はつえを要し、長距離歩行が困難である。」
 以上の総合所見に基づく診断意見に「体幹障害無し」と、矛楯する内容を記載している診断書について、「病院が作成した上肢7級下肢4級体幹無しの診断書について、誤りと認めるに足りる証拠は無い。」と判決出来る筈が無い。
 裁判官は、明らかに証拠の診断書を見ないで、病院の主張のみ採用して「脊髄損傷治癒」を判決した。
 同様の事が、準備書面でも起きていた。
 裁判官は、患者の準備書面を読まなかった。
 病院は、最初、患者の脊髄損傷を頸椎捻挫の疾患と思い込み。上下肢7級体幹無しの診断書を交付した。
 患者に指摘され、診療録を確認して、上肢7級下肢4級体幹無しに訂正したのも、単に歩行記録から下肢4級を記載しただけで、自ら診断書に記載した「脊髄の損傷による運動マヒの残存。屋外移動はつえを要し、長距離歩行が困難である。」記載を認識理解せず、「むち打ち患者に4級の申請をしてやった」という態度であった。
 患者の疾患が脊椎損傷では無く、脊髄損傷・・・骨では無く中枢神経の損傷であって、不治の疾患と気付いた後は、病院は「脊髄損傷をリハビリ治療で治癒させた」と主張する方針に決定してしまった。
 一人の医師が、不治の脊髄損傷を治癒させたと主張すれば、それが通るのが医療裁判とは言われていても、脊髄損傷不治は国際的な医学常識であり、病院自ら診断書に脊髄損傷の後遺障害を記載しているのに、脊髄損傷をリハビリで治癒させたという病院主張が認められた事は信じられない思いがする。
 裁判中、病院は最初に、脊髄損傷は治癒させて後遺障害は無いと主張し続けていたが、患者が一貫して脊髄損傷不治を主張し続けると、治癒主張を微妙に変更し始めて、最終、体幹5級に満たないレベルの後遺障害があったと変更した。
 裁判途中、「治癒という医学用語は、症状固定の意味で使用した」と、体幹の後遺障害はあったかのような主張に変更してきた。
 そこで告訴人が、「症状固定の医学用語は寛解、治癒は治癒。体幹障害の症状固定であったというのなら、どのような後遺障害があったのか」と問い掛けたが、回答はなかった。

 病院弁護士は医師会の弁護士ではなく、医療知識が全く無かった。もし医師会の弁護士であれば、裁判官の一人でも脊髄損傷不治の常識を知っている者がいたら、脊髄損傷治癒主張は、誤診・誤治療の証拠となってしまうので、このような治癒主張はしなかったと思われる。
 裁判官が一般常識を知らなかったとしても、患者は、裁判において脊髄損傷不治の医学的根拠について、何度も詳細に主張した。これに対し、病院が脊髄損傷治癒主張の根拠にしたのは「FIM満点近くまで症状改善させた」という一点のみで、脊髄損傷不治の医学的根拠については一切反論しなかった。
 FIM数値というのは、機能的自立度評価で、トイレなど日常生活の自立度を療法士らが評価して数値化したものであるが、病院は何度も「FIM満点近くまで症状改善させた」と主張し続け、患者はその都度「FIM満点近くまで症状改善数値は、病院が破棄撤回した最初の上下肢7級診断書の数値で、脊髄損傷治癒の根拠にはならない。同じFIM満点近くまで症状改善数値によって、下肢4級診断している事からも治癒根拠にならない。」と反論主張したが、裁判結審近くになっても、単に「FIM満点近くまで症状改善」のみを主張し続けた。
 法廷で、患者が口頭で「同じFIM満点近くまで症状改善主張を何度繰り返しても、もう反論済みなので、時間の無駄、根拠を示して欲しい。」と患者が要求すると、裁判官は「同じ主張を繰り返しても構わない、反論したくなければしなくていい。」と発言した。
 裁判官が患者の準備書面を読んでいない事に気が付いたので、裁判官に「FIM満点近くまで症状改善数値は、病院が破棄撤回した最初の上下肢7級診断書の数値で、脊髄損傷治癒の根拠にはならない。同じFIM満点近くまで症状改善数値によって、下肢4級診断している事からも治癒根拠にならない。」旨、口頭で主張すると、裁判官は「あ~っ、そうか。」と発言した。
 然るに、裁判官は判決で、脊髄損傷治癒の証拠として「FIM満点近くまで症状改善数値」を挙げて、病院主張のみを全面採用したのである。