病院を変えれば良かったじゃないと言われても

 現実には、本件は特殊な状況で発生した事件である。通常、医師の診断に対し患者に不審があれば、病院を変えれば全て解決し、今回のように病院が患者を自殺に追い込むような事態は生じようが無い。

 特殊例となった理由は、第一は、函館医師会の「事故患者は紹介状が無ければ転医出来ない」という指針である。
 病院は法廷で、この指針を否定し続け、患者は自由に転医出来たのに、故意に転医せず、自らの選択でこの状況に至ったと裁判官を欺くことに成功した。
 裁判官は、この先入観により、病院が異常な患者に絡まれた被害者だと判定したのだろう。
 しかし、「脊髄損傷はリハビリでは治癒しない」と理解すれば、判決や認定の全てが逆転する。

 医師とも思えないそんな「脊髄損傷をリハビリで治癒させた」と3年近く主張し続けた病院だが、問題発覚直後に「脊髄損傷治癒」が誤診であることを理解していた。病院が依頼した弁護士は、医師会の弁護士ではなく、医療知識が無かったので、最初は病院の脊髄損傷治癒主張を信じたかもしれないが、脊髄損傷不治はネット検索では数分で判明する事実である。主張が虚偽であることは、確実に気が付いていたが故に、高裁では脊髄損傷治癒診断書について故意では無かったと述べていた。

 「脊髄損傷をリハビリで治癒させた」のが事実であれば、記者会見で世界に公表するような大ニュースで、病院は法廷でもその世界的貢献を主張した筈である。
 治癒証拠として挙げたのも、撤回破棄された軽症診断書の根拠になったFIM数値だけなのだから、正常な判断力のある人間なら、治癒診断はj虚偽だとすぐに判る筈なのである。

 特殊例となった理由の第二は、患者も、すぐにこの病院はダメだと判断した。しかし、病院は誤診隠蔽のために患者を手放さない。
 紹介状交付を拒否しただけでなく、診療情報提供書に座骨神経痛と誤認させる情報を記載した事実が判明しているわけで、患者が次病院に転院出来ても、虚偽の診療情報が提供される前例があったのである。
 誤診隠蔽を目的に、病院が転医を妨害した場合、患者は簡単には病院を変わることなど出来ない。

 高裁判決は明らか誤審であるが、これも、患者側に説得力が無かっただけで、病院以外の誰を責めても仕方が無い。
 薬も保険金も治療再開も止められ、3年以上無収入で日常生活も困難になっている。
 函館西警察・函館保健所・法務局・北海道厚生局、そして最高裁出来ることは全てベストを尽くしたが、個人で出来ることには限界がある。
 肉体的・精神的苦痛が非常に大きく、経済的ダメージも大きい。
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