11-b-1、F妻の後遺障害診断書

 後遺障害診断書1頁の自覚症状欄には「両手足のしびれ、頭痛、首の痛み、左手の温度感覚の低下」の記載がありますが、個人の感覚である自覚症状は医学的に診断された他覚症状では無いため、後遺障害の記載として認識されません。この自覚症状を、「主要症状欄」「障害見通し欄」にも記載したのは、元々、無診察で脊髄損傷をムチウチと思い込んでいた為に、「後遺障害は無い」と患者に説明しており、「単に何かを書いて記載欄を埋めておこう」という意識から記載しただけです。
 この後遺障害診断書の自覚症状記載内容は、次項第1身障診断書の総合所見欄(別紙11-8)と同じですが、その総合所見欄には他覚症状を記載するものなので、SAITO医師は自覚症状と他覚症状の区別を理解出来ずに記載した医師だったという事です。
 また、後に訂正された第2身障診断書の総合所見は、別人のような重症患者記載になっていましたが、それでも障害が脊髄損傷によるものとは気付いていおらず、障害起因を脊椎と思い込み、表記を改竄していました。

 自覚症状欄(別紙11-5)の「温度感覚の低下」は、高橋病院入院時の診察で「温痛感覚の脱失」が療法士とSAITO医師により診断確認されており、また前病院の医師・療法士・看護師らから、「温痛感覚の脱失は非常に危険」と何度も注意されたものが、高橋病院では注意されることもなく「温度感覚の低下」と、脱失では無く低下まで回復している記載になっています。

 神経障害欄(別紙11-5)の人体図の記載は、後に訂正された第2身障診断書の記載(別紙17-2)と全く異なります。これはSAITO医師が無診察で診断書を作成した事と、診断書作成の際、SAITO医師がカルテ記録を確認していなかったためです。
 空欄の他覚症状欄(別紙11-5)には、本来は第2身障診断書の総合所見程度(それでも不十分な記載ですが)が記載されていなければなりませんでした。

 後遺障害診断書2頁の右拇指の記録は運動域に制限・異常がある記録になっており、この記録が正しいのですが、この診断書と同時期に作成された次項の「上下肢7級体幹障害無し」の第1身障診断書(別紙11-11)の右拇指可動域記載は、全て正常記録になっていました。
 これは、同じカルテ記録から、第1身障診断書に正確に転記しなかったためですが、右拇指の動作は日常生活でも重要なのに、右拇指のリハビリ治療を指示していた筈のSAITO医師が、同時期に作成した本診断書には異常値を正しく記載し、第1身障診断書(別紙11-11)には正常値を記載していた事になります。
 また、第2身障診断書4頁(別紙17-4)でカルテ記録が無いという理由で空欄にして、患者に再計測を要求している項目は、この後遺障害診断書には正しく記載済みになっており、第2身障診断書のカルテ記録が無いというのは虚偽でした。

 後遺障害診断書2頁の障害の見通し欄は、単に自覚症状欄と同じ記載がされ、「見通しは定かではありません。」と記載されています。しかし、この後遺障害診断書は、他覚症状疾患の症状固定を前提に作成交付するものであって、「自覚症状の定かではない見通し」を記載するものではありません。

 前病院からの診療情報には、胆嚢摘出とイレウス手術が記載され、自賠責胃診断書には記載されています。山梨病院のインフォームドコンセント記録(別紙11-7)には「後遺症による腸閉塞」の記載があります。また、自賠責診断書には、イレウス開腹手術と胆嚢摘出手術が記載されているのに、本診断書には記載がありません。胆嚢摘出は臓器摘出ですし、イレウス複数回発症は査定とは別に後遺症として記載されて然るべき疾患でした。
 前病院の引き継ぎから、患者症状を正しく把握していたなら、診断書に記載していなければなりませんでした。

 F妻は、入院中5日間の便秘記録が有りますが、医師・看護師共に全く気にしていませんでした。SAITO医師が、無診察で前病院からの引継ぎも理解せず、患者症状を把握していなかったためですが、脊髄損傷不治を知らず、イレウスは死亡する疾患と知らなかった内科医だったという事です。

 現状、他覚症状欄の記載が無い診断書(別紙11-5)は、後遺障害等級14級にも満たない自覚症状診断書として、保険給付の対象になりません。後に訂正された第2身障診断書(別紙17-2)には、F妻は脊髄・脊椎損傷の後遺障害により、30分以上の起立位保持が出来ず、家事や軽作業も出来ない上肢4級、下肢4級併せて上肢に3級相当の後遺障害症状記載になっていますが、この後遺障害診断書には記載されていません。